昨日、大変不本意ながら、私が分散型SNS「Mastodon」を用いて運営しているリベラル専用コミュニティ「LIBERA TOKYO」におきまして、特定のユーザ様に対し利用規約違反を理由に警告を発し、一定期間ペナルティを科すことにしました。
具体的な内容については伏せますが、「LIBERA TOKYO」本来の目的から逸脱し、今後も同様の言動が繰り返される場合にはサービスの利用をお断りしなければならなくなると判断致しました。
ここで、「LIBERA TOKYO」に限らず、また「Mastodon」に限らず、SNS、特に分散型SNSで活動している皆様(もちろん私自身も含みます)に申し上げておきたいことがございます。
ご自分の発言には責任を持ちましょう。そして、責任を持てない発言はすべきではありません。
日本では(一応)言論の自由や表現の自由が認められています。だからといってどんなことでも好き勝手に発言していいわけではない。例えば、特定人物に対する脅迫や犯罪を助長する発言などは絶対におこなってはなりません。他者の人権を蹂躙することは、言論の自由や表現の自由とは別次元の話です。表現の自由をやたらと標榜する人間の中には、自分の表現のためなら他者の人権を蹂躙することも厭わないと思っている向きもあるようですが、大きな間違いです。
そして、ネット上での発言の影響は、発言者本人だけにはとどまりません。一人のコミュニティ参加者の何気ない言動が、コミュニティそのものの存続を危うくすることだってあるのです。
「mstdn.jp」一時サービス停止
昨日、日本における代表的なMastodonコミュニティの一つである「mstdn.jp」が一時サービス停止に追い込まれました。
「mstdn.jp」といえば、今月1日に運営主体が変わったばかりなのですが、3日目にしていきなり事案を抱え込むことになってしまいました。
今月より「mstdn.jp」の運営主体となったSujitech, LLCの代表であるSuji Yan氏のTwitterアカウントでは、サービス停止時に次の報告がなされました。
Today https://t.co/vm49uVO44j was reported containing ‘sensitive’ content and the service is currently paused by the VPS provider and the service is down now. We’re working on solving this problem ASAP. Thanks
− Suji Yan (@suji_yan) July 3, 2020
それに対して日本語訳をつけた方もいらっしゃいます。
本日 https://t.co/gRNW5ReP4n が「センシティブ」なコンテンツを保有していると通報され、VPSプロバイダーによってサービスは一時停止されています。サービスはダウンしています。私たちは早急にこの問題を解決できるように取り組んでいます。 https://t.co/ZxXyxHjRxt
− blank (@8blank71) July 3, 2020
「センシティブ」なコンテンツが具体的にどのようなもので、いつ誰が投稿したのかについては、我々には知るよしもありません。しかし、「センシティブ」なコンテンツを投稿することが、回り回って投稿者の言論の自由や、投稿者の参加するコミュニティ、またコミュニティ内の同胞たちに実害を与えてしまうということは、理解できるのではないかと思います。
幸い、サービス停止は同日中に解除されたようですが、再発防止の観点から、「mstdn.jp」の運営方針はそう遠くないうちに従来のものから大幅に変化してゆくのではないかと思われます。
じゃあ「センシティブ」って何?
…「センシティブ」とは何かと訊かれて即答できる方はそう多くないのではと思います。自分も無理です。
おそらく、人によって捉え方は違っているのではないでしょうか?
Twitterでは、「センシティブなメディアコンテンツ」について、大きく次の5項目を挙げています。
- 写実的な暴力描写
- 成人向けコンテンツ
- 強姦及び性的暴行に関するコンテンツ
- グロテスクなコンテンツ
- ヘイト表現を伴う画像
- 参考記事
- センシティブなメディアに関するポリシー @ Twitter
これが、「mstdn.jp」の運営主体やサーバ業者の認識と一致しているかどうかはわかりません。しかし、おそらくはここに挙げられている5項目のいずれかに該当する(あるいはその可能性が濃厚な)コンテンツが含まれていたであろうことは想像に難くありません。
Mastodonユーザの中には、「mstdn.jp」を含む一部の大手コミュニティを「無法地帯」と断言する人もいます(敢えてリンクは貼りません)。
もちろん、私にだって、大手コミュニティに参加する人間がすべて無法者ではないことぐらいはわかっています。ちゃんと会話が成立し、意思疎通を図れる人だってたくさんいます。しかし残念ながら、会話が成立せず、意思疎通を図れない人間がいるのも事実。中には利用規約が目の前にぶら下がっていてもそれを守る気がさらさらないのだっています。そのような種々雑多なユーザを少人数の運営者が管理するのは容易ではありません。「mstdn.jp」は大きくなりすぎたのです。
連合とコミュニティ
分散型SNSの大きな特徴として、同じプロトコルに対応した他のSNSと連合を組むことができることを挙げられます。これは」中小規模のコミュニティが分散してお互い連合を組むことで、理想的にはどのサーバにユーザ登録しても会話に参加できるようになるという画期的な仕組みです。しかし、センシティブなコンテンツまでもが連合先から流れてくることを考えると、連合はデメリットにもなり得ます。
Mastodonのサーバの中には、極右コミュニティや性的な写真を垂れ流しているコミュニティなどをドメインブロックしているところも少なくありません。また、「mstdn.jp」と並んで日本の代表的なMastodonコミュニティの一つである「Pawoo」では、絵師の作品が多数投稿されていますが、海外ではそれらが「センシティブ」扱いになっており、海外のMastodonサーバの中には「Pawoo」をドメインブロックしているところも少なくありません。
私が6月27日(土)に「まいった〜」というMastodonサーバを立ち上げたときに、大手の分散型SNSサーバを敢えてドメインブロックするということをしましたが、その理由の一つに、「センシティブなコンテンツの流入を極力阻止する」ということを挙げることができます。実は「まいった〜」では、自分自身が運営する「LIBERA TOKYO」を期間限定とはいえドメインブロックしておりますが、これも理由は同じです。
過去に自分も参加していたいくつかのコミュニティのようなマッタリとした雰囲気を自分のサーバで再現させるには、流入するコンテンツにもある程度気を配らなければならないのです。そして残念ながら、「LIBERA TOKYO」でも扱っている政治系の話題(というより「政治的な」話題)は、それに反することが往々にして起こりえます。
万が一、連合経由でセンシティブなコンテンツが流入してしまった場合、それが自分のサーバ由来のものでなかったとしても、昨日の「mstdn.jp」のようにサーバ業者によってサービスを止められてしまう危険性があることを否定することはできません。それを防ぐためにも、今後、流入コンテンツの選択の必要性はますます高まってゆくのではないかと思われます。
発言者としてもサーバ管理者としても、センシティブなコンテンツの扱いに対してはより慎重に臨もうと思った一日でした。
