2020年06月16日

【 #都知事選2020 】山本太郎氏も出馬表明。しかし…

青くライトアップされた東京都庁

 昨日、れいわ新選組代表の山本太郎氏が、今年の東京都知事選挙への出馬を表明しました。

 私は一応れいわ新選組の支持者でありますが、この出馬表明を訊いて抱いたのは、歓喜ではなく落胆でした。

 既に、弁護士の宇都宮健児氏が、立憲民主党、日本共産党、社民党の応援を取り付けて立候補しています。山本氏が立候補するまでは、自分も宇都宮氏を断固支持するつもりでした。

 しかし、ここで山本氏が立候補を表明したことで、宇都宮氏とどちらを支持すればよいのかわからなくなってしまいました。

 否、これは私だけの話ではなく、多くの人が指摘しているように、野党票が割れてしまうことはもはや避けられません。現状、小池都政の継続とそれによる新自由主義への傾斜をなんとしてでも食い止めなければならないのですが、今回の山本氏の出馬表明はどう考えてもそれに逆行する行為だと思っています。

 なお、伝え聞いた話によると、古参の山本太郎支持者の中には今回の件で戸惑いを覚えた人が少なからずいるようです

 私も、今回は投票日当日に投票用紙に記名するギリギリまで、宇都宮氏と山本氏のどちらに投票すべきか悩むことになると思います(あ、棄権は絶対にしませんよ)。

 こうなってしまった以上、今回私は、「小池都政を終わらせるための最善となるであろう行動」をとるつもりです。つまり、マスコミ等の情勢分析で、宇都宮氏が優勢であれば宇都宮氏に、山本氏が優勢であれば山本氏になびくということです。

 自分だって、こんな主体性のかけらもないような行動基準に従いたくはありません。しかし、あくまで今回の目的は、小池都政を終わらせて東京都の新自由主義傾斜を防ぐことと考えておりますので、こうせざるを得ません。

 なお、私に限らず、SNS等で政治を取り上げている人の多くが、国政選挙や大きな地方選挙の時に、「三春充希(はる) 星2みらい選挙プロジェクト」の情報を参考にしていると思われます。今回の都知事選挙では、自分もこれをフル活用するつもりです。


 ぼやいていても仕方ありませんので、宇都宮氏と山本氏の政策の比較でもしようかと思います。

 それぞれ、次のページの内容を参考とさせていただきます。

参考ページ
宇都宮けんじの政策(速報版2020) @ 宇都宮けんじ公式サイト
東京都8つの緊急政策 @ 山本太郎 東京特設サイト

 新型コロナ対策

 これは今や全世界的に関心の高い話題であろうかと思われます。

 両氏の(現時点での)政策を見比べてみることにしましょう。

  • 宇都宮けんじの政策(速報版2020)
    • 新型コロナウイルス感染症から都民の命を守る医療体制の充実と自粛・休業要請等に対する補償の徹底
      1. PCR検査態勢充実
      2. 病院や保健所、医療従事者に対する財政支援の強化
      3. 病床、人工呼吸器・ECMO(人工肺装置)・マスク・防護服などの医療器具の充実
      4. 自粛・休業などにより収入が減少した中小事業者に対する補償、仕事を失ったり収入が減少した非正規労働者、フリーランス、学生などに対する生活補償を徹底して行う。
  • 東京都8つの緊急政策(山本太郎)
    • 東京オリンピック・パラリンピック中止
    • 総額15兆円で、あなたのコロナ損失を徹底的に底上げ
      1. まずは全都民に10万円を給付。
      2. 授業料1年間免除。(高校・大学・大学院・専門学校等)
      3. 中小企業・個人事業主の前年度事業収入と今年度事業収入のマイナス分を補償。
      4. 病院を潰さないため、減収に対し、災害時と同様に前年度診療報酬支払額を補償。
      5. 第2波、3波を考えれば再び「補償なき自粛」が行われる恐れがある。その際には、全都民に10万円給付。全事業者へ簡単なWEB申請で受け取れる「まずはサッサと100万円」を支給。中小企業・個人事業主に対し無利子・無担保・繰延可能の融資。全世帯の水光熱費を1年間免除。医療従事者やエッセンシャルワーカーへ日額2万4千円の危険手当を支給。「スピード感」ではなく、「スピード」を重視。
    • 都の職員3000人増員 ロスジェネ・コロナ失業者に職を
    • PCR検査・隔離・入院体制を拡充 都立病院の独立行政法人化は中止

 こちらについては、着眼点がそもそも両氏で異なるものの、山本氏のほうが具体的であるように見えます。

 宇都宮氏は医療体制を重視し、山本氏は都民の生活を重視しているように読めます。

 なお、山本氏の出馬表明はライブ配信されましたが、それによると、山本氏はコロナ対策の財源に、東京五輪中止によって浮くであろう費用を充てるとのことです。

 宇都宮氏の政策を読む限りでは、宇都宮氏はコロナ対策の財源をどうするのかについては明言されていません。これについてはいずれ明らかにしてほしいものです。これも候補者選びの判断材料となり得ます。

都立・公社病院の独立行政法人化について

 両氏とも、これについては中止を訴えています。

  • 宇都宮けんじの政策(速報版2020)
    • 都立・公社病院の独立行政法人化を中止するとともに、これまで以上に充実強化を図る。
  • 東京都8つの緊急政策(山本太郎)
    • PCR検査・隔離・入院体制を拡充 都立病院の独立行政法人化は中止 

 これは、先述の新型コロナ対策にも大きく影響する問題です。文言こそ異なるものの、両氏の主張に大きな開きはないと思われます。

五輪、カジノ対策

 両氏とも、これらのうちの片方にしか言及していません。

 こちらについては両方とも中止しなければなりません。特に、カジノ誘致は絶対にダメ。その代わりに雀荘でも作った方がまだマシです(ぉぃ)。

 もちろん、運営会社には黒川前検事長を名誉顧問に招くとして

 そもそも、市民生活を考える上で、カジノ、五輪ともに強行などナンセンスです。これは宇都宮、山本両氏ともに両方とも中止を訴えなければダメな話です。

貧困・雇用対策

 これは両氏の性格が色濃く出ていると言えるでしょう。

  • 宇都宮けんじの政策(速報版2020)
    • 学校給食の完全無償化〜子どもの貧困をなくす。
    • 東京都立大学の授業料を当面半額化し無償化をめざす〜誰もが学べる東京を実現する。
    • 都営住宅の新規建設、家賃補助制度・公的保証人制度の導入、原発事故避難者に対する住宅支援〜住まいの貧困をなくす。
    • 公契約条例の制定、非正規労働者を減らし正規労働者を増やす〜働く者の貧困をなくす。
  • 東京都8つの緊急政策(山本太郎)
    • 都の職員3000人増員 ロスジェネ・コロナ失業者に職を
    • 低廉な家賃で利用できる住宅を確保 「住まいは権利!」を東京から
    • 保育所・特養の増設 介護・保育職の処遇大幅改善

 こちらについては、宇都宮氏のほうが一歩上手だと思います。宇都宮氏はどちらかというと「学び」を重視しているように見えます。

 対する山本氏は、「職」を重視しています。確か、先述の出馬表明のライブ配信では、「学び」のことについても語っていたとは思いますが、現時点でテキスト化した情報としては、山本氏サイドからは「学び」について出てきていません。 

 「住まいは権利!」は、山本氏が前々からテーマとしてあげていることです。実際に、昨年の参議院議員選挙で落選してから、しばらく山本氏自身が住まい探しに苦労していたそうですので、この問題については山本氏は誰よりも実感していることだろうとは思います。…が、現在山本氏のサイトから拾える情報からは、宇都宮氏ほどの具体性は伝わってきません。

災害対策

 こちらについては、山本氏のほうが踏み込んでいるように見えます。

 表題だけ見るとたいしたことを書いていないようにも見えますが、山本氏のサイトでは、防災に関する専門機関である「東京防災庁」の設置を明言しています。そして、千人単位で専門職を登用するとも述べられています。これは雇用対策にもつながるいい考えだとは思いますが、これはつまり、今までの東京都ではこれをできていなかったということでしょうか。東京都、防災に対しては割と力を入れているものだとばっかり思っていたんですけどね…。

道路・交通政策

 残念ながら、山本氏のサイトでは、現時点ではこれに関する記載はありませんでした。

  • 宇都宮けんじの政策(速報版2020)
    • 道路政策(外環道、特定整備路線、優先整備路線)を見直す〜地域住民の意見に耳を傾ける。
    • 羽田空港新ルート低空飛行の実施に反対する〜都民の命と暮らしを守る。
  • 東京都8つの緊急政策(山本太郎)
    • (2020年6月15日時点では記載なし)

 私は元千葉県民ということもあり、房総半島上空を飛び、羽田空港に離着陸する飛行機の騒音にはずいぶんと悩まされてきました。

 しかし、羽田空港新ルートと言われているエリアで想定される騒音は、自分が房総半島で味わってきたものの比ではありません。超低空飛行。これは都庁のある新宿周辺にも当てはまります。それどころか、もし万が一墜落事故など起きようものなら、都市機能の長期的な麻痺は避けられないでしょう。

 それを考えれば、羽田空港新ルートの超低空飛行に反対するのは、ごく自然な流れです。

 道路政策のほうは、私が問題点をまるっきり把握していないので、現時点ではノー・コメントということで。

 あ、間違っても、「都営地下鉄に2階建て電車を入れる」などとは言わないように。そんなこと言ったら絶対に支持率が下がります。

環境問題

 こちらについても、残念ながら、山本氏のサイトでは、現時点ではこれに関する記載はありませんでした。

  • 宇都宮けんじの政策(速報版2020)
    • 温暖化対策(CO₂の排出削減、自然再生エネルギーの充実など)を抜本的に強化するとともに緑と都市農業を守る〜地域環境、自然環境を守る。
  • 東京都8つの緊急政策(山本太郎)
    • (2020年6月15日時点では記載なし)

 もちろん、宇都宮氏が訴えていることは、東京都「だけ」の力では実現できません。しかし、都が温暖化対策をとりやすくする政策をとることはできます。

 それから、都市農業への言及は、新自由主義がはびこることで農業を外資に持って行かれることに対する抑止力としても期待できます。

 そうそう。新自由主義に対する歯止めという点では、農業もそうですし、先述のカジノなどもダメ。そして、もちろん東京都のスーパーシティ化や水道民営化など論外もいいところです。両氏ともそれらに対する言及がないのは残念です。

障がい者政策 

 いかにも宇都宮氏が触れそうな話題なのですが、実際に現時点でこれに触れているのは山本氏のみです。

 障がい者の登用や介護、教育など、テキストとしては2行分程度の長さなのですが、その中にぎっしりと障がい者政策が詰め込まれています。特に、都の障がい者政策部局の責任者に障がい当事者を立てるということは、政策の実効性の向上も期待できます。

 宇都宮氏にも、山本氏とはまた違った切り口の障がい者政策を聞かせてほしいところです。

上記以外に両候補者に政策として取り入れてほしい事案

 いずれも速報だったり緊急政策だったりで、まだまだ具体的とは言いがたいです。

 これについては、追々詳細な情報が出てくるものと思われます。

 今回両氏が挙げていなかった点で、個人的に政策として取り上げてほしい事案を、いくつか挙げることにします。

  • スーパーシティ法永久凍結
  • 水道民営化永久凍結
  • 種子法復活に相当する条例の制定(先述の都市農業の話にもつながる)

 なお、自分はこの歳にもなっていまだに子供がいません。そのため、子育てや教育についての適切な提言はできません。これについては、現役子育て世代からの提言を読みたいところです。

最後に

 宇都宮、山本両氏の政策、きっと被るところも多いのだろうと思っていたら、速報版で出ている情報を見る限りでは、結構相違があります。

 追々詳細も出てくるのでしょうが、速報段階で出ている情報は、各候補者が特に重視している政策とみてよいでしょうから、それを考えるとやはり相違ありと言えます。

 そして、分野によって一長一短であり、やはり、政策を眺めるだけでは投票先を決めることができません。 

 先述の通り、今回私は、「小池都政を終わらせるための最善となるであろう行動」をとるつもりです。どちらも出馬を辞退するつもりがない以上、大変不本意ながら、投票先を決めるに当たっては自分の主義主張を二の次にした行動をとらざるを得ません。

 なお、先日、Twitterでおこなわれていた投票先を問うアンケートでも。ものの見事に票が割れています。

 非れいわ支持者の大半と、れいわ支持者の過半数が、宇都宮健児氏に投票すると答えています。

 なお私は、れいわ支持、宇都宮氏に投票と答えました。

 この結果がそのまま選挙情勢につながるわけではないとは言え、野党票、特にれいわ支持者の票が二分されてしまうことは避けられそうにありません。そして、私みたいに当日ギリギリまで悩む人が大量に出現することでしょう。

 やはり、今回の山本氏の立候補、どう考えても悪手だと思います。山本氏は「小池票を奪いに行く」つもりなのだそうですが、せいぜい、2016年に鳥越俊太郎氏を嫌って小池百合子氏に流れてしまった票の奪還が関の山で、むしろ野党票の分散化によるマイナスのほうがはるかに大きいです。山本氏の真意がさっぱりわかりません…。

posted by Telmina at 00:14| Comment(0) | 政治
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